ナオ 1979-2012
2012年 05月 19日
高校時代のバスケ部の友人とは
住んでいる地域もライフスタイルも変わってしまったので
全員集合は盆と正月程度。
最近はもっと少なくなって、結婚式くらいだろうか。
けれども親戚のような、存在自体が故郷のような
少し特別な友人ではある。
ナオはその一人だ。
ナオの死の知らせはメールだった。
心臓発作で眠るように、だそうだ。
ポカンとしながら
みんなで同じ宿をとり、新幹線のチケットを手配して
これがナオの結婚式だったらね、と黒い服を着て笑う。
GW直前だというのに越後湯沢ではまだ雪が残っていて桜が咲いていた。
次第に空は快晴となり、山が白く連なり、日本海は青く澄んで
北陸の美しい景色が心に沁みた。
葬儀場に掲げてあるナオの名前を見て
入りたくないと泣きだす友人の顔が目に焼きつく。
棺に入っているナオを見て悲鳴にも似た友人の声が耳に残る。
突然死だったため、検死などで葬儀までに1週間ほどあり
ナオのお肌は少し腐敗がはじまっているようにも見えた。
1歳の娘をまだ見せていなかったので連れてきていた。
今年の年賀状には「巴君に会いたいよー」とあった。
男の子だと勘違いしているのか
部長が女子社員を呼ぶ体なのか
謎のままだ。
突発性発疹で真っ赤に腫れ上がり、ゾンビのような娘を見ても
男の子か女の子かわからなかったかもしれない。
「ありがとう」も口ごもってうまく言えなかった。
目を赤くしながらも、それぞれの子供の手をひき
葬儀場の隅で気が抜けたように集まっている私たちの中に
そこに、となりに、ナオがありありと見えるようだった。
黒いスーツにうまくおさまらない長い手足
短い袖と裾を少し気にしながら
ぺたんこのパンプスを履いて。
卒業アルバムを読まれて、怒ったように照れて。
遺影の笑顔よりも
棺の中のナオだった肉体よりも
喪主であるナオのお兄ちゃんは、雄弁にナオだった。
はっきりとした目鼻立ちも、シャイであろう仕草も、
モデルのような背の高さも。
遺伝子を残す、という形を見たようだった。
ナオは子供も産まずに死んでしまったけれど
肉体は遺伝子として親族の中に、
魂は記憶として私たちの中に残っていて
きっとこれがもう一つの「生きる」だ。
遺伝子も、記憶も、少しずつ薄れていって
もう一つのナオも少しずつ死んでいくんだ。
もう一つのナオの生を持って
私たちはおばあちゃんになっても一緒に生きよう。
いつまでも色あせない思い出話をしよう。
ありがとう、ナオ。
住んでいる地域もライフスタイルも変わってしまったので
全員集合は盆と正月程度。
最近はもっと少なくなって、結婚式くらいだろうか。
けれども親戚のような、存在自体が故郷のような
少し特別な友人ではある。
ナオはその一人だ。
ナオの死の知らせはメールだった。
心臓発作で眠るように、だそうだ。
ポカンとしながら
みんなで同じ宿をとり、新幹線のチケットを手配して
これがナオの結婚式だったらね、と黒い服を着て笑う。
GW直前だというのに越後湯沢ではまだ雪が残っていて桜が咲いていた。
次第に空は快晴となり、山が白く連なり、日本海は青く澄んで
北陸の美しい景色が心に沁みた。
葬儀場に掲げてあるナオの名前を見て
入りたくないと泣きだす友人の顔が目に焼きつく。
棺に入っているナオを見て悲鳴にも似た友人の声が耳に残る。
突然死だったため、検死などで葬儀までに1週間ほどあり
ナオのお肌は少し腐敗がはじまっているようにも見えた。
1歳の娘をまだ見せていなかったので連れてきていた。
今年の年賀状には「巴君に会いたいよー」とあった。
男の子だと勘違いしているのか
部長が女子社員を呼ぶ体なのか
謎のままだ。
突発性発疹で真っ赤に腫れ上がり、ゾンビのような娘を見ても
男の子か女の子かわからなかったかもしれない。
「ありがとう」も口ごもってうまく言えなかった。
目を赤くしながらも、それぞれの子供の手をひき
葬儀場の隅で気が抜けたように集まっている私たちの中に
そこに、となりに、ナオがありありと見えるようだった。
黒いスーツにうまくおさまらない長い手足
短い袖と裾を少し気にしながら
ぺたんこのパンプスを履いて。
卒業アルバムを読まれて、怒ったように照れて。
遺影の笑顔よりも
棺の中のナオだった肉体よりも
喪主であるナオのお兄ちゃんは、雄弁にナオだった。
はっきりとした目鼻立ちも、シャイであろう仕草も、
モデルのような背の高さも。
遺伝子を残す、という形を見たようだった。
ナオは子供も産まずに死んでしまったけれど
肉体は遺伝子として親族の中に、
魂は記憶として私たちの中に残っていて
きっとこれがもう一つの「生きる」だ。
遺伝子も、記憶も、少しずつ薄れていって
もう一つのナオも少しずつ死んでいくんだ。
もう一つのナオの生を持って
私たちはおばあちゃんになっても一緒に生きよう。
いつまでも色あせない思い出話をしよう。
ありがとう、ナオ。
# by kogashizu | 2012-05-19 03:44 | Trackback | Comments(4)






